大規模修繕に適切な周期とは? 法律やガイドラインの目安【藤沢市のアパート・マンション・工場・施設の修繕専門店】
雨風や紫外線の影響により、マンションには経年劣化が発生します。外壁や屋根の防水をはじめ、マンションの耐久性や機能性を維持するために必要なのが大規模修繕工事です。大規模修繕工事は計画的に行われますが、マンションの状態により周期が異なります。今回の記事では、法律やガイドラインに沿った一般的なマンションの大規模修繕の周期を、続けて次回2回目の周期について解説します。大規模修繕を伸ばす方法やメリットについても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
マンションの大規模修繕の一般的な周期は「12年」
実際にはマンションの劣化状況や故障の発生具合、周辺環境(海辺が近い、湿気が多い、直射日光が当たるなど)によって、適切な大規模修繕のタイミングは異なります。大規模修繕を実施する周期や回数に明確な定義やルールはありませんが、一般的には「12年」を大規模修繕としている場合が多めです。
なぜマンションの大規模修繕は12年周期で行われるかの背景は、「長期修繕計画作成ガイドライン」や「特定建築物定期調査」の法律などが存在します。
国交省の長期修繕計画作成ガイドラインによる提示
長期修繕計画とは、およそ30年間で発生するマンションの修繕工事の時期や費用を策定した計画です。マンションの修繕積立金や管理費を算出するためには、根拠となる長期修繕計画の策定が重要と言えます。各マンションの管理組合への長期修繕計画の策定をサポートするために、平成20年に国土交通省によって公開されたのが、「長期修繕計画作成ガイドライン」です。
当初の同ガイドラインには、修繕周期の考え方として12年程度で実施する大規模修繕工事の例が紹介されていました。令和3年に公開された最新版のガイドラインでは「部材や工事の仕様等により異なるが一般的に12年~15年程度」と記載されていますが、ガイドラインで紹介された例がマンションの大規模修繕工事の周期を12年と定着したひとつの要因と言えるでしょう。
特定建築物定期調査と同時期に実施
建築基準法により、特定建築物には「特定建築物定期調査」の実施が義務付けられています。特定建築物とは公共施設や医療機関など不特定多数の人が利用する建物のことです。マンションも特定建築物に該当します。特定建築物定期調査では、10年が経過したタイルやモルタルなどの外壁には、10年経過後3年以内の全面打診調査の実施と報告が義務化されています。外壁の施工から10年か経過すると、タイル剥がれによる落下事故などが発生する可能性が高くなるためです。
全面打診調査の実施には、足場を組む必要があります。そこで全面打診調査と大規模修繕を同時期に行うことで足場組みを1度にまとめ、コストを削減できます。外壁施工後10~13年以内に実施が必要な全面打診調査と同時期に行うために、大規模修繕工事を12年周期としているマンションも多いと言えるでしょう。
外壁塗料や防水材の劣化タイミングに合わせる
マンションの外壁に使用されている塗料やシーリング材、タイル、屋上の防水材などは日々雨風や紫外線を受けています。一般家屋よりも耐久性の高い塗料や防水材を使用しているものの、施工から10年以降は劣化による耐久性や機能性が低下する場合が多めです。
外壁塗料や防水材が劣化すると、ひび割れや膨張、塗装剥げなどによる雨水のコンクリート内部侵入が発生し、耐震性の低下や内部構造の劣化といった、構造躯体に深刻な影響を与えてしまいます。そこで、外壁塗料や防水材が劣化する前に大規模修繕を行うために、12年周期としている場合も多いでしょう。
次回は2回目以降の大規模修繕の実施時期と注意点について解説します。