大規模修繕に適切な周期とは?2回目以降の大規模修繕実施時期と注意点
マンションの大規模修繕は1度で終わらず、建物の安全性や機能性を確保するために計画的かつ定期的に実施する必要があります。2回目以降の大規模修繕の実施時期と、注意点について解説します。
2回目以降は「築26~33年」での実施が多い
1回目の大規模修繕は12年で実施するマンションが多い一方、2回目以降の大規模修繕は築26~33年に行うマンションが多くなっています。国土交通省発表の「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、2回目のマンションの大規模修繕を行った時期の平均は「29.5年」で、上位25%は33年、下位25%は26年で実施していることが分かりました。
2回目以降の大規模修繕工事実施の注意点
マンションの大規模修繕を12年周期で行う場合、2回目は築24年で行うことになります。ただし、2回目からの大規模修繕工事では、マンションの建物全体の劣化度合いが1回目とは大きく異なります。
たとえば1回目は雨水や紫外線の影響を受けやすい建物外部の修繕を中心に行いますが、2回目は外部に加えて建物内部の部位やパーツの改修も必要です。3回目以降となると、柱や内壁といった構造躯体や建物内部の主要設備、部材の更新も求められます。場合によっては耐震補強や省エネ化といった工事が必要な場合もあるでしょう。そのため、マンションの大規模修繕工事は建物の築年数とともにコストが高くなる傾向にあります。修繕積立金の改修や建物診断の実施といった、大規模修繕工事に向けての準備や計画を日々行っておくことが重要です。
大規模修繕工事の周期を伸ばす方法
大規模修繕工事の目安周期は12年と解説しましたが、国土交通省のガイドラインが「部材や工事の仕様等により異なるが一般的に12年~15年程度」と改訂されるように、大規模修繕工事の周期を数年伸ばして実施するマンションも多くなっています。
大規模修繕工事の周期を伸ばすことで、トータルで必要な工事回数とコスト削減につながります。大規模修繕工事は1回実施につき数千万円~億単位の費用が発生するため、大きなコスト削減となるでしょう。
大規模修繕工事の時期を伸ばすためには、以下のことが必要です。
・適切な材料と工法の選定
・定期的なメンテナンスの実施
むやみに大規模修繕工事の周期を伸ばしてしまうと、外壁の塗料やコーキング材の劣化や欠損などの症状を放置してしまい、劣化が進んで逆に建物へ深刻なダメージを与えてしまうことがあります。まずは専門家に建物の状況を調査してもらい、適切な材料や工法を選定することが重要です。
また、軽微な劣化の修繕や定期的なメンテナンスの実施も求められます。大規模修繕工事の周期を伸ばすことは1回あたりの工費の削減にはつながるものの、耐久性や機能性の高い材料の選定や定期的な修繕・メンテナンスの実施にも費用は発生します。建物の状況と修繕積立金のバランスを考えて、大規模修繕工事の周期や実施時期を考えることが重要です。
まとめ
マンションの大規模修繕工事の周期と2回目の実施時期、周期を伸ばす方法について解説しました。マンションの一般的な大規模修繕周期は12年としているところが多い一方、近年では周期を伸ばすところも増加しています。マンションや周辺住民の安全確保のために、建物の劣化状況を正しく把握し、適切な時期や周期で大規模修繕工事を行うことが重要です。プロに建物診断を依頼したり、材料や工法の提案を受けたりといったことも検討し、マンションの機能性を長期間正しく発揮できるようにしましょう。