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大規模修繕での減価償却の知識~メリット・デメリットについて解析

大規模修繕の豆知識 2023.11.07 (Tue) 更新

マンション・アパートのオーナー様にとって、建物の大規模修繕は劣化を防ぎ、資産維持をするのに必要不可欠なものです。しかし、大規模修繕は莫大な費用が掛かります。

大規模修繕は経費として計上することによって、節税することはできます。

オーナー様にとって減価償却についての知識は、建物管理の鍵を握るものです。

今回のコラムでは、建物価値の維持と向上に不可欠な大規模修繕工事の減価償却という財務面での要素に焦点をあてていきたいと思います。

大規模修繕とは?

マンションの大規模修繕は、マンションやアパートのオーナー様が、建物全体を対象に行う大規模な修繕工事のことを指します。これは、建物の構造や外装、設備などを定期的にメンテナンスし、その耐用年数を延ばすための重要なプロセスです。この大規模修繕は、建築基準法2条14号に基づいて行われることが多いです。

建築基準法2条14号は、建物が長期間にわたって安全に使用できるように、適切な保守と修繕を行うことを規定しています。具体的には、建物の耐震性や耐久性を維持し、住民の安全を確保するために大規模修繕が行われます。これには、屋根の修繕や改修、外壁の補修や塗装、エレベーターの保守や更新、公共スペースのリフォーム、配管や電気系統のアップグレードなどが含まれます。

大規模修繕は、建物の寿命を延ばし、住民や投資家の利益を保護するために不可欠です。だ修繕工事を適切に計画し、実施することで、マンションやアパートの価値を維持し、住環境を向上させることができます。

減価償却とは何か?

減価償却は、不動産や設備などの資産の価値が時間とともに減少するプロセスを指します。大規模修繕工事において、減価償却は修繕費用を複数年にわたって償却(分散)する方法です。これは、修繕にかかる費用を一度に全額計上せず、設定された期間に分けて経費として認識することを意味します。

マンション大規模修繕の減価償却方法

具体的な減価償却の計算方法は、修繕対象となる設備や部分の耐用年数に基づいて行われます。耐用年数は、その設備や部分がどれくらいの期間使用できるかを示すものです。通常、税法や会計基準に従って設定されます。

計算方法の例を示します:

  1. 修繕費用の計算: まず、大規模修繕にかかる総費用を計算します。

  2. 耐用年数の設定: 各設備や部分に対して、耐用年数を設定します。例えば、外壁の改修が15年、屋根の修繕が20年と設定されることが一般的です。

  3. 年ごとの償却費用計算:

    各年の償却費用は、修繕費用を対応する耐用年数で割ることにより計算されます。例えば、100万円の修繕費用が20年の耐用年数であれば、年ごとの償却費用は100万円 ÷ 20年 = 50,000円です。この50,000円は、大規模修繕工事にかかる費用を年ごとに均等に分散して計上し、所得税の節税として活用できます。修繕プロジェクトの財務計画において、償却費用を適切に計算することが重要です。
  4. 年次の減価償却計上: 毎年、計算した年次の償却費用を会計帳簿に記入します。

  5. 節税の恩恵: 計上した償却費用は所得税の申告書に記入され、所得税の減免として利用できます。

 

減価償却のポイント

  • 耐用年数は修繕の性質に応じて異なります。設備ごとに正確に設定することが重要です。
  • 減価償却は所得税の節税に役立つため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
  • 正確な減価償却スケジュールを立て、計画的に利用することで、資産価値を最大化できます。

 

大規模修繕工事において、減価償却は資産価値の維持と節税の手段として非常に重要です。適切な計画と実行により、修繕費用を有効に管理し、不動産資産の価値を最大化することができます。

大規模修繕と資本的支出・修繕費の違い

大規模修繕に関連すると、資本的支出と修繕費の違いを理解することが重要です。大規模修繕をおこなった場合、会計上は資本的支出もしくは修繕費として計上します。

この二つのい違いについて説明します。

資本的支出:

  • 資本的支出は、長期間にわたり価値を提供する資産の購入、改善、または更新にかかる費用を指します。例えば、新しい屋根、エレベーターの交換、外壁の全面改修などが資本的支出に該当します。
  • 資本的支出は、建物全体の価値を向上させるために行われ、その効果は数年または数十年にわたります。
  • 資本的支出は通常、修繕やメンテナンスに比べて高額で、その費用は長期間にわたって償却されます。

修繕費:

  • 修繕費は、建物や設備の日常的なメンテナンスや小規模な修繕にかかる費用を指します。例えば、故障した水道管の修理、壁の塗装、照明の交換などが修繕費に該当します。
  • 修繕費は、建物や設備を維持し、通常の使用条件を維持するために発生する支出です。
  • 修繕費は通常、その年の費用として計上され、即座に費用として処理されます。

 

大規模修繕工事は、資本的支出に該当し、建物全体の価値を向上させるために行われます。これに対して、日常的なメンテナンスや小規模な修繕は修繕費として処理され、建物の適切な運用を保つために行われます。

資本的支出なのか修繕費なのか、明確に分けることが出来ない場合、60万円未満の費用であること、または修理する資産の前期未所得価格の10%未満の費用であった場合には、修繕費となり、それ以外は資本的として計上をします。

ただし、60万円未満でも、それを行うことで明らかに建物の価値が上がるといった場合は資本的支出となる場合もありますので、注意が必要です。

大規模修繕工事で、基本的施術は減価償却としてどれくらい計上ができるのか?

大規模修繕での資本的支出の減価償却についての計上額や期間は、国や地域によって異なります。減価償却のルールは税法や会計基準に基づいて設定され、地域ごとに異なるため、一般的な数値を示すことは難しいです。以下は一般的な考慮事項です。

 

  1. 償却期間: 大規模修繕の資本的支出は、通常、特定の償却期間内に均等に償却されます。償却期間は、建物や資産の種類、価値、地域の税法によって異なります。償却期間は通常数年から数十年にわたることがあります。

  2. 減価償却率: 減価償却率は、資本的支出の性質によって異なり、税法に基づいて設定されます。建物や設備の種類や用途に応じて、異なる減価償却率が適用されることがあります。

  3. 法的規制: 減価償却に関する法的規制は、国や地域によって異なります。税法や会計基準が資本的支出の減価償却に関する詳細な規則を定めています。

  4. プロのアドバイス: 大規模修繕の資本的支出に関する減価償却計算は複雑で、個別のケースに依存します。専門家の税務アドバイザーや会計士に相談し、地域の規則に基づいて正確な減価償却計算を行うことが重要です。

 

具体的な減価償却計算や期間については、地域の税法と会計基準に従って設定されるため、個別の状況に応じて詳細を検討する必要があります。建物や設備の性質、地域の規制、専門家のアドバイスを考慮して、正確な減価償却計算を行うことが重要です。

減価償却をするメリット・デメリット

マンションの大規模修繕での減価償却には、メリットとデメリットがあります。

メリット:

  1. 財務面での節税: 大規模修繕にかかる費用を減価償却で計上することで、その費用を年々分散させ、年次の課税利益を減らすことができます。これにより、所得税負担を軽減できるメリットがあります。

  2. 修繕資金の確保: 減価償却を活用することで、将来の大規模修繕に向けた資金を蓄積しやすくなります。修繕費用を徐々に計上することで、財務面での負担を緩和できます。

  3. 建物の価値の維持: 大規模修繕工事にかかる費用を適切に計上し、修繕を実施することで、建物の価値を維持し、将来の資産価値を保護できます。

デメリット:

  1. 償却期間の長さ: 減価償却には通常、長期間にわたる償却期間が設定されます。そのため、修繕にかかる費用を長期間にわたって分散させる必要があり、すぐに費用を軽減することは難しい場合があります。

  2. 会計上の複雑さ: 減価償却は会計上の複雑さを伴います。正確な記録と計算が必要であり、専門的な知識やアドバイスが必要かもしれません。

  3. 法的規制の変化: 減価償却の法的規制は地域や国によって異なります。法律や税法の変更により、減価償却のルールが変更される可能性があるため、最新の情報に注意する必要があります。

 

大規模修繕での減価償却は、財務面でのメリットや修繕資金の確保に役立ちますが、償却期間の長さや会計上の複雑さに注意が必要です。法的規制の変化にも対応する必要があります。建物所有者や管理者は、具体的な状況と地域の規制に基づいて、減価償却の利用を検討し、専門家のアドバイスを受けることが重要です。

 

最後に…

大規模修繕は、マンションやアパートの所有者や管理者にとって欠かせないプロセスです。

大規模修繕と減価償却を適切に理解し、管理することは、建物の価値を維持し、住環境を向上させるための不可欠なステップです。マンション・アパートのオーナー様のとって、地域の規制や法律に基づいて、最適なアプローチを検討し、プロの支援を受けながら賢明な経済的な判断を下すべきです。大規模修繕と減価償却を通じて、建物の価値を守り、住民や投資家の利益を確保しましょう。

 

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