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建物の防水工事にはどのような種類がある? 特徴や耐用年数目安をご紹介
マンションやアパート、工場などの建物で防水工事をおこなう際には、施工する箇所や目的などによって、いくつかの選択肢のなかから適切な工法を選ぶこととなります。本記事では代表的な防水工事の種類を、それぞれの特徴とともにご紹介します。 降水量が多く、また台風の進路となってしまうことも多い日本においては、建物に定期的な防水工事をおこなっておくことが大切です。適切な工法で防水工事をしておけば外部や内部の劣化を最低限に抑えられ、建物の寿命をのばすことができます。 本記事では、一般的な防水工事の種類について、概要や特徴などを解説しています。 そもそも防水工事とはどのような修繕? アパートやマンション、ビルや工場施設など様々な建物において、必要に応じた防水工事がおこなわれます。 この「防水工事」は雨水が建物の内部に侵入してしまうことを防ぐための工事となり、主に建物の屋上部分でおこなわれますが、ベランダやバルコニーが雨風にさらされやすい状況の場合には、そういった箇所に対してもおこなわれます。 雨水の侵入防止と聞いて、各箇所の床部分にだけ防水を施すというイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば外壁にヒビ割れなどの劣化部分がある場合、雨風がそこからも侵入してしまいます。したがって、防水工事をおこなう場合は外壁も含めた全体に渡って工事をおこなうことが一般的です。 実際に工事を計画する際には、建物の各部の状況、補強の必要性や予算などによって、後述するような塗装防水、シート防水やアスファルト防水など様々な工法が選択されます。 マンションやビルなど大きな建物で防水工事が必要になる理由 一般的に、ビルやマンションの屋上部分で戸建て住宅ほどの勾配がつけられているケースはそう多くはありません。また、工場施設や事業用の建物であっても、屋上部分は最低限の排水をおこなうための緩やかな傾斜がつけられている程度で、人間が活用できるスペースとして維持できるようにあえてほぼ平らに近くなっている、という状況が一般的です。 そのため短時間での完全な排水は難しく、降水量の多い時期にはどうしても一定時間以上、雨水が屋上部分にとどまってしまうことになります。 雨水が屋上にとどまり続けてしまうと屋上の床部分のダメージが蓄積されるだけでなく、建物内部への雨漏りや、ひどい場合は建物の構造部(柱や梁、階下の部屋の床部など)にまで水が浸透してしまうという状況も発生します。 「木造住宅ではなく鉄筋コンクリートの建物なので大丈夫」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかしコンクリートは木造と比較して堅牢さや耐久性は期待できるものの、「ヒビ割れが発生しやすい」という特徴もあります。 コンクリートはもともと水と砂やセメントなどを混ぜることによって作られており、建物として完成した後も、常に一定の水分が含まれています。この水分が外気の変化の影響を受け蒸発することより、コンクリートの「乾燥収縮」が起こり、ヒビ割れにつながります。 コンクリートのヒビ割れは屋上の床部分など見つかりやすい部分に発生することもあれば、建物の構造部など目につきにくい部分で小さく複数個所、起きてしまっていることもあります。このヒビ割れ部分からもし雨水が侵入してしまうと、コンクリートの中性化(二酸化炭素が侵入し、コンクリートの性質が強アルカリ性から中性に変わってしまうこと)が起こったり、その影響で鉄筋部分の皮膜が破壊され腐食してしまったり、といったように、建物の寿命や耐震性に直接影響する事態につながりかねないのです。 建物では雨水による影響が一度でも起こってしまうと、「少量の水の浸透→鉄骨部分の腐食→鉄骨部分のサビが大きくなることによって建物内部からの膨張→さらに周囲でコンクリートのヒビ割れが広がる→雨水の浸透経路が増えてしまう」というように、悪循環が起こってしまいます。 そのため、常に適切な防水を施しておくことが重要です。 例えば新築時に施されている防水工事の種類を確認しておき、その工法の耐用年数や建物の構造、目で見える範囲でのコンクリート部分の変化などを考え合わせながら、適切な時期に防水工事を重ねていくことが大切です。 防水工事は建物のどのような箇所でおこなう? 前述のように、マンションやアパート、ビルなどの建物に防水工事をおこなう際には、一般的に屋根や外壁、ベランダやバルコニーといった部分が多くなります。 ただし、雨風など外部からの影響だけでなく、建物内にもともとある水回りの設備に破損や故障、劣化などがあるとそこから建物の構造部分に浸水してしまう可能性もあります。そのため必要に応じて、キッチンやトイレ、シャワールームや浴室といった室内設備周辺の防水工事も定期的におこなう必要があります。 防水工事で選択される主な工法 実際にビルやマンションといった建物に防水工事をおこなう場合には、選択肢として様々な工法があります。 以下に、代表的な工法を特徴とともにご紹介します。 シリコン塗装 こちらは「塗装」であるため厳密には工事の範ちゅうには入りませんが、建物に比較的安価で防水効果をもたらす代表的な方法のひとつとなるため、ご紹介します。 シリコン塗装では、すでにヒビ割れが起きている箇所や起きる可能性がある部分などにシリコン塗料(シリコン樹脂塗料)を塗布し、雨水が内部へ侵入することを防止します。 シリコン塗料は屋上や屋根のほか外壁にも使うことができ、また汚れがつきにくく季節によって変動する様々な天候・気候への抵抗力も期待できることから、防水目的だけでなく建物の耐久性向上や、外観の劣化防止など、様々な目的で選択されます。 防水目的によるシリコン塗装では、一般的なシリコン塗料よりも防水性が優れる代わりに耐用年数がやや短めとなる、弾性シリコン塗料が選ばれることもあります。また、あくまで塗料であるため、小さなヒビ割れ程度であれば表面化せずに防ぐことができますが、すべてのヒビ割れを常に防止できるというわけではありません。 塗装の耐用年数を把握しておき、定期的に塗装を更新したり、また高耐久の塗料を選んだりといったことも検討しておくことが大切です。 ウレタン防水 比較的安価におこなえる防水施工方法として、広く普及している工法です。 ウレタン防水では、液体状のウレタン(ポリウレタン)樹脂を工事箇所に塗り重ねることで、防水層を形成します。ウレタンは柔軟性と耐衝撃性を兼ねそなえた素材であり、施工したあと一定時間で化学反応による硬化が起こり、液状からゴムのような材質へと変化します。施工部分へ高い密着力で定着するため、段差や凹凸、曲面がある箇所などでも継ぎ目なくきれいに施工できます。 また、ウレタンの特徴として防音性に優れているという面もあり、吸音効果をもたらしたい設備の壁や床などに使われることも一般的です。 塩ビシート防水 塩ビシート防水では、塩化ビニル樹脂で形成されたシート型の防水材を、防水したい床や壁部分などに接着剤(密着工法)や機械(機械固定工法)といった方法で貼り付け、防水層を形成します。 塩化ビニル樹脂はプラスチック素材の一種であり、防水性や耐久性に大変優れているため、配管のパイプなどにも多く使われています。 あらかじめ形成されているシートを施工箇所に直接密着させるかたちとなるため、耐風圧性にも優れている一方で、下地の影響を受けやすく、例えば下地が多く水分を含んでいたり、複雑な凹凸があったりする場合などには不向きなケースもあります。 FRP防水 FRP防水では、ガラス繊維などの強化材で補強されたプラスチック(繊維強化プラスチック)によって施工部分に塗膜層を作り、高い防水効果をもたらします。 塗膜の硬化速度が速く、防水効果を高めるために何層も塗り重ねるような場合でも1日単位など短期で施工を完了でき、また成型性も柔軟であるため、公園の遊具や浴槽、プールや人工池、温泉施設など様々な場所で使われています。 アスファルト防水 アスファルト防水は従来から広く使われている防水工法の一種で、合成繊維不織布で形成されたシートに液状のアスファルトを染み込ませたものを、施工箇所に貼り重ねることで防水層を形成します。 厳密には、アスファルト防水では主に3種類の工法からいずれかが選択され、工法には熱を使わずに防水層を貼り合わせできる「常温工法」、トーチバーナーでシートをあぶり、溶かしながら貼り付ける「トーチ工法」、溶融釜であらかじめ溶かしたアスファルトを用いてシートを積み重ねていく「熱工法」があります。 いずれの工法でも、アスファルト防水は特に広大なスペースへの防水施工に適しているため、学校やマンション、工場や商業施設など大きな建物の屋上や屋根で採用されることが多くなっています。 防水目的で建物の補修を検討すべき周期はどのくらい? 一度防水工事をおこなった建物において、次にどの程度の周期で新たな工事をおこなうべきかについては、どのような工法を選択したかによって変わってきます。そのため、各工法における耐用年数を把握しておくことが大切です。 ただし同じ工法であったとしても、どのような気候・環境下での建物なのか、また例えばシリコン塗装においてどのような結合(原子結合)が含まれる塗料を使ったかなど細かな条件によって実際の耐用年数は変わってくるため、正確なところは施工を依頼した事業者にあらかじめ確認しておくとよいでしょう。事業者によっては、一般的な耐用年数目安よりも長く効果をもたらすための、特殊な原材料や技術を採用している場合もあります。 なお、一般的な範囲での各工法の耐用年数はおおむね以下のような範囲となりますので、参考情報のひとつとなさってください。 ・シリコン塗装……7~15年ほど ・ウレタン防水……8~15年ほど ・塩ビシート防水……10~15年ほど ・FRP防水……10~12年ほど ・アスファルト防水……15~25年ほど ※工法技術や使用素材など、諸条件によって異なります 建物への防水工事は、予算と施工箇所、目的に応じて適した工法を選択 大切な建物を雨風から守り、外側だけでなく構造部分などまで含め全体的に劣化を防ぐためには、適切な防水工事を定期的におこなっておくことが大切です。 ひとくちに防水工事といっても、施工箇所や目的、使える予算などによって様々な選択肢があります。オーナー様のご都合や建物の状況を細かく相談しながら、適切な工法を選びたいという場合にはぜひ修繕専門店へお気軽にご相談ください。 2024年10月20日 更新大規模修繕を実施する際には、居住者の過ごし方に制限がかかる? 協力をお願いする内容や、留意点について解説
大規模修繕工事をマンションやアパートでおこなう際には、工事内容によっては居住者の過ごし方が、いつもとちょっと変わってしまうという場合もあります。代表的な留意点や、よくある質問などをまとめてご紹介します。 マンションやアパートにおいて、防水面や耐震性を補強したり、年月が経過した構造部分を見直したりといった目的で大規模修繕工事を実施する際には、その建物の住民の方々のご協力も不可欠です。 一般的に大規模修繕工事の事業者においては、住民の方への影響を最低限にできるよう尽力していますが、それでも何点かほぼ制限が発生するようなポイントがあります。本記事では一般的な留意点や、居住者から多く寄せられる質問などをご紹介します。 大規模修繕の大まかな流れ 大規模修繕中の居住者の過ごし方への影響を検討する際には、工事の大まかな流れをあらかじめ把握しておき、その期間について居住者皆様にも共有しておくことが大切です。 工事にかかる期間や必要となる工程については大規模修繕の内容により異なりますが、一般的な流れとして以下のような工程があることを把握しておくとよいでしょう。 個別の具体的な流れや所要日数についてはぜひ、あらかじめ事業者へご相談ください。 ・施工事業者との打ち合わせ(居住者様に影響なし) ・建物状態調査および分析(基本的には居住者様に影響なし、バルコニー工事など一部の場合にご 協力依頼の可能性あり) ・プラン策定、契約(居住者様に影響なし) ・工事説明会(参加される居住者様に影響) ・仮設工事(居住者様に影響) ・下地補修工事(居住者様に影響) ・高圧洗浄や塗装工事、防水工事(居住者様に影響) ・工事完了、アフターフォロー(フォロー内容によって居住者様に影響) 大規模修繕工事中の注意点 大規模修繕工事をおこなう際には、あらかじめ日程や各工程における作業内容、注意事項やご協力のお願いなどについて、事業者からチラシなどの方法で告知されます。 特に、足場や危険な箇所には近づかないようにしていただくという点や、換気の問題、バルコニーでの洗濯物干しについてなどが居住者様にも直接的に影響するポイントとなりますので、管理会社様や管理組合様にもご協力をお願いし、全世帯へ周知することが必要となります。 例えば旅行で一部の期間、在宅していない居住者様がいる場合や、別途個別に宅内でのリフォーム工事を計画している居住者がいる場合などには、あらかじめ事業者へご相談ください。 工事中の過ごし方について居住者からのよくある質問 大規模修繕工事を実施する際には、工事期間中の過ごし方について建物のオーナー様や管理組合様から、居住者の方々へあらかじめ説明しておく必要があるでしょう。 実際に大規模修繕工事を計画される際には、ぜひ詳細について修繕施工事業者へお問合せください。 以下では事前検討段階でのひとつの目安として、居住者様からのよくあるご質問、および一般的な工事内容における回答例をご紹介します。 網戸を外しておく必要はある? 建物内の各居室で取り付けられている網戸やサッシについては、専有部分ではなく共用部分となります。そのため、工事範囲にベランダやバルコニーが含まれている場合には、工事の品質や作業の円滑性を確保する目的で、必要に応じて網戸やサッシの取り外しをお願いする場合があります。該当するケースとしては、バルコニー部分で床面の防水工事や壁面・天井の塗装をおこなう際、および網戸・サッシ周辺のシーリング工事をおこなう際などとなります。 網戸などを取り外す際には外部からの作業のみでは取り外せない場合が多く、室内でのビス緩めの作業が必要となるため、あらかじめ告知したうえで在宅ご協力をお願いする場合がございます。 バルコニーはどの程度片づけておけばよい? 修繕工事にあたっては安全性を最優先に、居住者様の生活上のご負担もなるべくおかけしないよう心がけておりますが、工事範囲にベランダやバルコニーが含まれている場合には作業を円滑にすすめるために多少のお片付けを依頼させていただく場合がございます。また工事工程において外壁高圧洗浄などもおこなわれるため、居住者様の私物を汚さないよう室内に入れていただくよう、お願いさせていただく場合がございます。 BSやCSのアンテナは取り外しておくべき? ベランダやバルコニー周辺を取り囲む⾜場を設置時、干渉する位置にあった場合には、BSやCSのアンテナを一度取り外すことをお願いする場合がございます。また、足場の仮設後にメッシュシートを敷設した際、アンテナに電波が届かなくなる可能性もあることをご承知おきください。必要に応じて、工事期間中の一時視聴中止といった契約手続きをしておかれることをおすすめいたします。 期間中、洗濯物は干せる? 修繕工事中は足場の設置、下地補修工事などによってベランダやバルコニー部分に埃や粉じんが舞う可能性があり、また塗料や泥水が飛散してしまうおそれがあります。そのため基本的に洗濯物を干すことはお控えいただきます。 ただし建物全体の工事期間が例えば数か月など長期に渡るような場合でも、各戸に直接該当するエリアごとの各工程は細かな日程分けをさせていただくことが一般的です。全体としての工事期間中であっても、お部屋の場所によっては洗濯物を問題なく干せる期間が生じる可能性もありますので、事前に日程をご確認ください。 シートや足場など遮断物の影響で室内は暗くなる? 工事期間中に足場が組まれる場合には、足場の影響により平時と比べて、お部屋に入り込む日光が大幅に少なくなってしまう可能性があります。 また工具の落下や塗料の飛散などの危険から居住者様を守るための養生シートについても少なからず影響がありますが、工事の種類によっては透過性の高いメッシュシートを採用できる場合があります。 工事中に匂いは出る? 特に外壁やバルコニー床部分の塗装をおこなう際には、塗料が発する匂いが一定期間、居住区間に届いてしまう場合があります。 また、塗装に使用する塗料は人体に影響を与えない設計のものや影響がきわめて少ないものを選択できるようにしておりますが、それでも日常的に直接吸引してしまうような状況を避けていただくため、換気時に開ける窓の場所などについて、工事期間中は限定するようなお願いをさせていただく場合がございます。 車や自転車は移動しておかなければならない? 建物を囲む足場の想定エリアが普段のご駐車・ご駐輪スペースと重なってしまう場合や、工事工程において器具や資材などの置き場として駐車場・駐輪場を利用させていただく場合には、車や自転車の移動をあらかじめお願いさせていただくことがございます。 全工事期間のなかの実際のどの期間において、どのような場所が利用不可になるかを事前に告知させていただきます。 大規模修繕中に、別途個別のリフォームなどを行っても問題ない? 大規模修繕の工事期間中、別途居住者様が他の事業者様などへ室内の個別工事を依頼される場合には、当該作業の期間および箇所などによっては作業干渉の影響があり、いずれかの作業や工事が円滑にすすまなくなる可能性がございます。そのため、当該期間中の室内個別リフォームなどを検討されている場合には、あらかじめ管理会社様を通じて詳細をご相談ください。 大規模修繕工事中の管理組合の関わり方はどうなる? 大規模修繕期間中には、前述の居住者様の過ごし方に一部制限がかかることなども含め、管理組合(理事会や修繕委員会)様が中心となって、様々なご協力をお願いしながら工事を進める場合が多くなります。 そもそも大規模修繕工事の計画時においても費用面での居住者全員の協力も欠かせないため、あらかじめ工事について「自分たちの資産の価値を維持する」という共通の目的をもっていただけるよう、組合内と居住者様で意思決定やコミュニケーションをおこなっていただくことをおすすめします。 大規模修繕期間中に可能性がある「過ごし方の制限」については事前に周知が必要 大規模修繕工事において、居住者の方にかかる過ごし方の制限については工事内容によっても異なりますが、本記事では一般的な事例をピックアップしてご紹介しました。 例えば洗濯ものを干せない期間や、駐車場を利用できない期間など、居住者によっては「いきなり言われても困る」という面が大きいかもしれません。 大規模修繕工事を計画する際には、工事内容によって異なる「住民へ周知しなければならないこと」についてもぜひ事前に、修繕専門店へご相談ください。 2024年10月10日 更新大規模修繕でかかった費用は減価償却できる? 考え方や基準、メリットなどについて解説
マンションやアパートなどの不動産を大規模修繕する際には、かかる費用についての税法上の取り扱いについて悩まれるという声もしばしば聞かれます。検討される際のご参考情報として、基本的な考え方などを解説しています。 工事規模が大きくなり、かかる費用も高額となりがちな大規模修繕を実施する際には、「修繕費になる? 資本的支出として減価償却できる?」といったお悩みや、「どのような工事内容のほうがメリットが大きいか」という考えを持たれているというオーナー様の声もよく聞かれます。 本記事では大規模修繕における減価償却などについて、基本的な知識をまとめて解説しています。 ※本記事で解説している内容は、一般的な税法上の基準・考え方を参考としたものです。例外となる場合もありますので、厳密な判断をおこなう際には、税理士や税務署へ正しい処理方法をご確認ください。 大規模修繕は修繕費になる? 資本的支出になる? 所有している建物に大規模修繕をおこなうにあたって、かかる費用を減価償却するということを検討するにあたっては、まず税法上の「修繕費」と「資本的支出」について理解しておく必要があります。 修繕費とは 税金を計算するうえでの「修繕費」とは、会社が経営において必要となっている「有形固定資産」について、修理や改修をおこなった際にかかった費用のことを指します。有形固定資産にはマンションやビルなどの建物が含まれますが、あくまで売買で利益を得る目的の建物ではなく、自社が事業において使用することが主目的となっている建物であることが条件となります。 修繕費の対象となる「修理や改修」については、通常の経営に必要な機能維持、および原状回復などが該当します。 そのため、大規模修繕においてもその建物の機能維持や建築当初の機能への回復を目的におこなわれる工事にかかった費用については、修繕費として計上されるという考え方となります。具体的な工事内容の例としては、経年劣化を回復するための外壁の塗装や屋上の防水工事、床材の交換などが挙げられますが、この際に例えば明らかに建築当初以上の機能向上が果たされるような、高機能な塗装や部材を使用した場合には、後述する「資本的支出」にあたってしまう場合がありますので注意が必要です。 資本的支出とは 税金を計算するうえでの「資本的支出」には、固定資産の耐久性を高めたり、価値を増加させたりするためにおこなわれた支出が該当します。この資本的支出にあたった場合には、その費用は固定資産の取得原価に加算されることとなるため、「減価償却費」という扱いとなり、耐用年数にしたがって年々、その年の費用として計上していくこととなります。 大規模修繕においておこなわれる工事内容が、前述の修繕費に該当する「原状回復や機能維持」なのか、あるいは資本的支出として減価償却できる「価値を増加させた工事」に該当するのか、というのは判断が難しい部分もあります。 国税庁では、修繕費とならないもの(つまり資本的支出にあたるもの)の判定基準として、3つの例を示しています。 【修繕費とはならず、資本的支出にあたるものの例】 ・建物の避難階段の新設など、物理的に「付け加えられた」部分の費用 ・「用途変更」のための模様替え、改造や改装の費用 ・部品や部材を現状より「品質や性能の高いもの」に取り替えた場合、通常交換より多くかかったぶんの費用 この基準に照らし合わせた場合、例えば外壁塗装をおこなう際に、単に経年劣化で剥がれてしまった塗装を従来と同程度の塗料で塗り替えた場合には修繕費にあたりますが、塗り替えを機に断熱効果が向上する高性能な塗料に変更した、というような場合には、その増えたぶんのコストについて資本的支出と判断される可能性がある、ということになります。 また、マンションや商業ビルなどでバリアフリーに対応するために車椅子スロープを新設したり、オール電化へ改築したりといった場合には明らかに「物理的に付け加えられたもの」「用途変更」などにあたりますので、資本的支出と判断される可能性が大変高いでしょう。 尚、この場合の大きな留意点として、かかった費用が20万円未満の場合には、例え新設や資産向上であっても修繕費のほうに計上しなければなりません。また、20万円以上かかったとしても約3年以内の短期的な周期でおこなわれる工事の場合には、やはり修繕費にあたるなど、細かな取り決めがあります。 ※参考:国税庁「修繕費とならないものの判定」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5402.htm 大規模修繕を資本的支出として減価償却する場合のメリット 大規模修繕でかかった費用を「資本的支出」として減価償却する場合の、建物のオーナーとしてのメリットとしては、「長期間にわたっての節税効果を得られる」という点があります。 例えば、年間家賃収入の総額が1,500万円のマンションで大規模修繕を実施し、工事費用に1,000万円かかったとしましょう。 その他の所得など細かな面は考慮せず単純計算すると、この費用が修繕費にあたった場合では、その年度の経費として1,000万円がまるごと計上され、所得税が57万円ほどとなり、税引き後の所得は443万円ほどとなります。 一方で資本的支出と認められた場合には、およそ47年ほどという長期間に渡って1,000万円を減価償却していくことになるため、約22万円ずつ減価償却するという計算となります。 ただし、この場合に「長期に渡る減価償却」をメリットとして捉えられるか、あるいは初年度に大きく節税効果があり税引き後の所得も増える修繕費のほうがメリットが大きいと感じられるかは、事業の運営状況や方針によっても異なってくるでしょう。 減価償却期間の考え方 大規模修繕でかかった費用が資本的支出にあたった場合、減価償却期間となる年数については建物の種類が関係します。 大規模修繕費用として資本的支出がおこなわれた際には、「新たな固定資産の取得」という考え方となり、基本的にその建物の種類自体における、財務省令で定められている耐用年数に応じた減価償却として計算されるためです。 例えば、鉄筋コンクリート造のマンションの場合には耐用年数は「47年」、木造アパートの場合の耐用年数は「22年」となります。 大規模修繕を修繕費として計上する場合のメリット 大規模修繕でかかった費用を「修繕費」として計上する場合の、建物のオーナーとしてのメリットとしては、前述の「資本的支出として減価償却する場合」でも例に挙げたとおり「修繕をおこなった事業年度で得られる大きな節税効果」があります。 この場合には、その年度で手元に残るお金が単純に多くなるため、事業資金として現金を多く残したい場合などには、大きなメリットとなるでしょう。 大規模修繕の費用が資本的支出・修繕費のどちらに該当するかは基準に照らし合わせてチェック! 本記事では、ここまで大規模修繕費用について「資本的支出」になる場合と「修繕費」になる場合の考え方や、得られる可能性のあるメリットなどを解説しましたが、あくまでどちらの区分として取り扱われるかは法律で定められた基準に照らし合わせてのこととなります。 例えば、「資本的支出のほうが長期的な運用をしやすいな」と感じたり、「修繕費として計上したほうがメリットが大きいな」という考えがあったとしても、希望によって柔軟に選べるという性質のものではありません。 確定申告の際には、国税庁が提示する基準を参照し、適切な申告をおこなうようにしましょう。 万が一、基準を反するような申告があって、例えば税金を減らすために意図的にいずれかに計上するような行為が認められた場合には、法令違反にあたってしまい会社法や法人税法に則った罰則が科せられてしまう可能性があります。状況が曖昧で判断に迷ってしまうような場合には、税理士や税務署へ相談し、判断を仰ぐことをおすすめします。 目的に合わせた大規模修繕をおこなうためには、ぜひ専門店へご相談ください アパートやマンション、工場などの建物を大規模修繕する際の主目的はその不動産の原状回復、機能改善などが大きなところとなりますが、少なからず費用をかけて大規模修繕をおこなううえで「併せて節税効果や長期的な減価償却など、納税上のメリットも検討しておきたい」と考えられるオーナー様も多くいらっしゃるでしょう。 本記事で解説したとおり、かかる費用が「資本的支出」にあたるのか「修繕費」にあたるのかについては法令に照らし合わせることとなりますが、例えばあらかじめ税務署や税理士に確認したうえで、「このような結果となる工事をおこないたい」という希望が定まった場合には、ぜひその旨を修繕専門店へご相談ください。ご希望に沿うプランをご提案させていただきます。 2024年9月30日 更新マンションや工場などの大規模修繕ってどんな工事内容? 一般的な工事周期についても解説
アパートやマンションなどの建物で実施される大規模修繕では、状況に応じて様々な工事内容が選択されます。本記事では一般的な工事内容や、計画される工事周期などについて解説しています。 アパートやマンション、工場など建物を所有している方にとっては、定期的な大規模修繕で建物の劣化を防止することが大きな課題です。 そもそも大規模修繕とはどのような工事内容を指すのか、どの程度の周期でおこなうべきなのかなど気になっている方に向けて、本記事では基本的なポイントをまとめてご紹介しています。 そもそも大規模修繕ってどういう工事? マンションやビルといった建物において、単なる修繕や補修工事などではなく「大規模修繕」と言う場合には、どのようなケースがあたるのかご存じでしょうか。 実は、建築基準法にて一定の定義がなされています。 建築基準法とは、日本国内において建築物の敷地や設備についての基準などが定められている日本の法律であり、この法律は「国民の生命・健康・財産の保護」が主旨となっています。 以下に、建築基準法における「大規模修繕」の定義を一部要約してご紹介します。 詳しくは掲載リンクより、当該法律をご参照ください。 建築基準法(第二条第十四号、および第十五号)「大規模修繕」の定義(要約) ・建物の主要構造部で、一種以上について過半部分に対する修繕 ・建物の主要構造部で、一種以上について過半部分に対する模様替え 建物の主要部分で大がかりな修繕をおこなうと、ほぼ該当する 上記、定義の要約のうち「主要構造部」が何を指すかというと、建物のなかの壁や柱、床や梁、その他屋根や屋内階段部分といった、建物の根幹を成している部分であり、付加設備ではない部分のことをいいます。 一方で例えば間仕切りとなっている壁部分や間柱、揚げ床(二重床)やひさし、屋外階段などは定義上、主要構造部からは除外されています。 つまり、法律上で「主要構造部」と定義されている壁や床、屋根などのうち、一種類以上の部分について、その半分以上を修繕したり模様替えしたりする場合には、「大規模修繕」にあたる、という理解となります。 一般的に建物のオーナー様や管理会社様がイメージする「大規模な修繕」とほぼ内容が一致するかとは思いますが、建築基準法上の定義として再確認しておくとよいでしょう。 尚、この建築基準法における大規模修繕に該当するような工事をおこなう場合には、諸条件や時期により住宅金融支援機構などからの融資・支援を受けられる場合もあります。 ※参考:e-Gov 法令検索「建築基準法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201 ※参考:国土交通省「参考 法律上の手続きと補助・融資等の制度」 https://www.mlit.go.jp/common/001064904.pdf 「修繕」と「改修」はどう違う? 建物に何かしらの工事をおこなう際には、「修繕」にあたる場合と「改修」にあたる場合があります。また、大規模修繕をおこなう際にも、「修繕と同時進行するかたちで改修までを実施する」というようなケースがあります。 この「修繕」と「改修」の違いについて、簡単に解説します。 「修繕」とは 建築から年月が経った建物や、その他なんらかの要因によって劣化部分がある建物、不具合が発生している建物などにおいて、設備や部材の交換や修理をおこなうことを「修繕」といいます。基本的に、これらの交換や修理は「もともとあった性能や機能を回復させる」という目的でおこなわれます。つまり、回復の度合いについてもその場しのぎの一時的なレベルではなく、あくまで「建築当時の水準まで戻す」ということが目指されます。 この修繕については建物において一定の年数ごとなど、長期計画のうえで定期的に実施されることが一般的であり、もしそうではなく局所的な劣化や不具合に対して都度おこなわれる対応の場合には、区別されて「補修」や「小修繕」などと表されることが多くなっています。 「改修」とは もとからある性能や機能を維持するためにおこなわれる修繕に対して、「改修」は主に建物の改良・アップグレードに関する工事を指します。 例えばマンション、アパートなどの集合住宅や商業ビル、工場といった、「人」が利用する建物は、時代の変化、住み方や働き方の変化などによって、求められる設備や機能のほか、住みやすさや働きやすさの水準なども変化していきます。 そういったニーズに応えるため、建物のオーナー様が「よりよい、時代に合った建物」へ更新するという目的でおこなう工事が改修にあたります。 改修をおこなうと、建物は建築当時の初期性能よりもアップグレードされた機能や性能、居住性などを得ることができ、住民の満足度の向上につながったり、入居希望者が増えたりといった多くのメリットにもつながります。 状況ごとに変わる大規模修繕の内容 大規模修繕においては、その建物がどういう状態にあり、どういった修繕ニーズが生じているかによっておこなわれる工事内容が異なってきます。 場合によっては複数の工事内容を同時におこなう必要性もあるでしょう。以下では、代表的な状況ごとの具体的な工事内容例をご紹介します。 外壁や屋根の老朽化への対応 コンクリート部分のヒビ割れといった、建物の主要構造部において老朽化による不具合が生じている場合です。 コンクリートのヒビ割れに対しては、エポキシ樹脂や可とう性エポキシ樹脂を厚さ10cm程度で覆う(シールする)「シール工法」という方法が多くもちいられます。 また、あわせて防水性能を高め、当該部分の新たなヒビ割れ(ヒビの広がりなど)にも対応できるように、当該部分を一度ダイヤモンドカッターなどでU字型にカットしたうえで、そこにシーリング材を充てんする「Uカットシーリング工法」がとられる場合もあります。 その他、老朽化の箇所や規模によって「ボンドシリンダー工法」や「HSS工法」など、様々な選択肢のなかから最適な手段が選ばれます。 モルタルやタイルの浮き・傷みへの対応 壁や床部分などでモルタルやタイルの浮きや傷みが生じている場合にも、状況に応じて様々な工法の選択肢があります。 例えば下地となるコンクリートの部分に欠損がみられる場合には、ヒビ割れの場合と同じくエポキシ樹脂を充填し、モルタルの浮き自体への対応としてはステンレスピンを併用した「ボンドピンニング工法」がとられます。タイル陶片が浮いていたり傷んでしまっている場合には、アンカーによって再固定する「MUS工法」がとられるほか、タイル自体を張替える場合も多くあります。 屋根の防水層の劣化への対応 建物の屋根や屋上部分の防水性能が落ちてしまっている場合には、原因によって様々な対応がとられます。 保護塗料が摩耗してしまっている場合には、新たな保護塗装をしなおします。 防水層を成すシートが摩耗・損傷している場合には新たな塩ビシートやゴムシートに貼り換えます。そのほか、もし伸縮目地の飛び出しが起こってしまっている場合には液体状のウレタン樹脂を充填するなど、現状で採用されている防水機能やその状況によって、最適な防水手段が選択されます。 大規模修繕が必要になる周期ってどのくらい? アパートやマンション、ビルなどを新築して以降、果たしてどの程度の周期で大規模修繕が必要になるものでしょうか。 この点についてはもちろん建物がある環境や使われ方、気候の影響、そのほか外的要因にも左右され、時期や回数に一定の決まりを示すことはできません。 建物の目的や劣化状況に応じて所有者や各管理組合などが随時判断していくこととはなりますが、国土交通省では主にマンションについての大規模修繕に関係するガイドラインを公開していますので、ご参考までに概要をご紹介します。 当ガイドラインでは、建物の快適な居住環境の確保、資産価値の維持や向上をはかるための修繕工事の重要性が示されており、標準様式を基にした長期的な修繕計画書を作成することが推奨されています。 計画期間については、「30年以上で、かつ大規模修繕工事が少なくとも2回含まれる期間」といった最低限の目安が提示されており、あわせて新築マンションの場合には推定される修繕工事項目ごとに建物の仕様や立地条件などを考慮しつつ設定、既存マンションの場合にはさらに建物や設備の劣化状況を随時調査・診断しながら設定というようにガイドされています。 一般的に、アパートやマンション、ビルや工場などといった建物では12〜15年位の間隔で大規模修繕をおこなうよう計画し、さらに劣化個所や故障個所の発生に応じて判断していくということが多いでしょう。 下記リンク先のガイドラインもぜひ参考にしていただきつつ、建物ごとに最適な大規模修繕計画を立ててみてください。 また、大規模修繕工事の際にはその時代にあわせた、耐久性や防汚効果が従来より優れた新技術・製品などをもちいることで修繕周期を延ばせる可能性もあります。長期計画時には、ぜひ修繕専門店へご相談ください。時期にあわせた最適なアドバイスをおこなわせていただきます。 ※参考:国土交通省「長期修繕計画標準様式 / 長期修繕計画作成ガイドライン / 長期修繕計画作成ガイドラインコメント」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747006.pdf 大規模修繕工事の事例 最後に、建物の種類ごとの大規模修繕工事内容について、いくつかの工事事例やかかった日数などを簡単にご紹介します。 計画時や検討時、具体的なイメージを持っておきたい際などにぜひ、ひとつのご参考となさってください。 マンション大規模修繕の一例 ・築30年、3階建てのマンション……建物全体の高圧洗浄、および塗装(外壁、廊下天井、エントランス天井や各戸の玄関ドアなど)、防水工事を実施。工事日数50日間 ・築34年、5階建てのマンション……屋上防水改修工事(既存防水層の撤去、新規ウレタン防水、改修用の排水ドレン取付など)を実施。工事日数30日間 アパート大規模修繕の一例 ・築古物件、新築以来一度も改修されていないアパート……塗装工事による外観のモダン化、および防水工事、左官工事や砂利敷工事などを実施。工事日数36日間 施設建物大規模修繕の一例 ・RC構造、3階建ての介護施設……既存防水層の撤去、下地清掃、新規ウレタン塗膜防水、改修用ドレン設置、配管架台の移動などを実施。工事日数30日間 大規模修繕で必要な工事内容については、ぜひプロにご相談を アパートやマンション、ビルや工場などといった建物では定期的な大規模修繕が求められます。どのような内容の工事をおこなうべきかについては建物のどの部分がどのように劣化しているかによって異なり、また修繕をおこなうべき周期についても、建物がある環境や使われ方、天候など様々な点を踏まえ検討しておく必要があります。 大規模修繕を具体的に計画される際には、最適なプランを選択できるようぜひ修繕専門店へご相談ください。 2024年9月20日 更新大規模修繕工事でかかる費用の相場は? 金額を比較する際の留意点や、コストダウンのアイデアをご紹介
大規模修繕を計画する際には、まず修繕積立金などで確保された予算をもとに、かけられる費用を考え合わせながら工事内容の吟味や施工事業者選びをおこなうことが一般的です。大規模修繕工事では費用相場なども工事の種類や規模ごとに様々となりますが、本記事では検討時に役立つ情報をまとめて解説しています。 アパートやマンション、工場施設など様々な建物でおこなわれる大規模修繕は、その不動産の性能や価値を維持するための大切な工事であるため、どうしても一定以上の費用が必要となります。 しかし、その一方で予算には限界があることから、少しでも費用を抑えられないか……と相場情報などを調べられているオーナー様や管理組合の方々もいらっしゃることでしょう。 本記事ではそんな際にご参考となるような情報をまとめて解説しています。 大規模修繕工事の費用を考える際に重要なポイント 大規模修繕工事に際して、選択する工事内容や依頼する施工事業者を費用の面から検討する際には、単純にかかる金額について確認するのはもちろんこと、関連するいくつかの点も同時に検討しておくことが大切です。 以下に、費用とあわせて検討しておくべきポイントをご紹介します。 総額費用がいくらかかるか まずは、予算との兼ね合いからも最も重要な点として、希望する工事内容をすべて含めた大規模工事について、費用の総額がいくらかかるのかを確認しておきます。 大規模修繕工事は建物の資産価値を維持したり、向上したりする目的でおこなわれる大がかりな工事であるため、どうしても一定以上の費用がかかります。とはいえ、修繕積立金などの予算でまかなえないほどの大きな額がかかってしまう場合、金融機関から融資を受けるなど金策も検討しなければならず、工事で得られる価値とはたして釣り合いがとれるのか、という点を慎重に検討しなければなりません。 尚、大規模修繕工事の費用としては工賃のほか足場設置などの準備作業代、塗料などの資材にかかる料金のほか、工事前の建物調査にかかる費用、別途専門のコンサルタントに相談する場合のコンサルタント料など、すべての工程で生じる費用を総合的に確認し、計算しておく必要があります。 計画から着工・完了まで全体的な工事期間はどの程度になるか 複数の施工事業者へ相見積もりをとるなどで費用を比較する際には、あわせて「どのくらいの工事期間になるのか」も確認しておきましょう。 工事期間は建物の住民の方々の暮らし方にも影響する期間であり、また理事会や修繕委員会など、修繕工事のために活動する組織が実際に様々な対応をとらなければならない期間でもあります。 そのため、例えば工事費用は格安だが工事期間が著しく長い、という事業者を選択してしまった場合は、総合的に考えて住民の方々や委員会の方々、オーナーにとって不利益が大きくなってしまう可能性もあります。 工事後、次回以降の周期や回数はどういった見込みになるか 建物の大規模修繕というものは、一度おこなえばそれで終わりというわけではありません。何十年と建物の状態や価値を維持したり、時代のニーズの変化に合わせたりしていくためには、例えば十数年に一度など、長期的な計画で定期的に修繕を実施することが一般的です。 大規模修繕をおこなったあと、次回以降の工事をどの程度の周期で検討すべきかについては、建物の老朽化具合のほか、実施した工事内容や工事の品質によっても変わってきます。 施工事業者ごとの費用を比較する際には、長期的にみた実質的なコストを判断するために次回以降の工事周期についても相談しておくことをおすすめします。 大規模修繕工事の費用の相場をチェック! 大規模修繕工事にあたってかかる費用の総額は、建物の規模や状態、実施する工事内容など諸条件によって様々とはなりますが、ここではひとつのご参考情報として、一般的な事例にならった費用相場の目安をご紹介します。 修繕委員会などを立ちあげて具体的に検討する段には、ぜひ専門事業者へ事前ご相談ください。専門事業者では、実際の建物の調査やオーナー様・委員会様からのニーズ聞き取りなどをおこなったうえで、具体的な見積もりをおこなうことが可能です。 外壁シリコン塗装を実施する場合の費用目安 ・2階建て、10世帯以下のアパートの場合……塗料・工賃・足場代など込みでおおよそ100万円台~250万円など ・3階建て、15世帯以下のマンションの場合……塗料・工賃・足場代など込みでおおよそ140万円台~400万円など ・5階建て、20世帯以下のマンションの場合……塗料・工賃・足場代など込みでおおよそ370万円台~700万円など 屋根シリコン塗装を実施する場合の費用目安 ・2階建て、10世帯以下のアパートの場合……塗料・工賃・足場代など込みでおおよそ70万円台~200万円など ・3階建て、15世帯以下のマンションの場合……塗料・工賃・足場代など込みでおおよそ110万円台~350万円など 屋上ウレタン防水工事を実施する場合の費用目安 ・4階建て、15世帯以下のマンションの場合……高圧洗浄、工賃、荷揚げ足場代など込みでおおよそ120万円台~350万円など 屋上塩ビシート防水工事を実施する場合の費用目安 ・4階建て、15世帯以下のマンションの場合……高圧洗浄、工賃、荷揚げ足場代など込みでおおよそ200万円台~450万円など 部分的な塗装・補修の費用目安 大規模修繕工事においては、ワンセットになった天井や壁部分の防水工事や修繕工事と併行するかたちで、部分的に不具合が生じている箇所や気になる箇所などについて個別補修や塗装も済ませてしまうことが一般的です。 こういった個別の対応についても、一般的な費用目安をご紹介します。 外壁ヒビ割れ補修を実施する場合の費用目安 ・タイルの箇所ごとに、おおよそ2,000円台~3,000円など 外壁タイル張替えを実施する場合の費用目安 ・1平方メートルごとに、おおよそ18,000円台~25,000円など 鉄部の塗装を実施する場合の費用目安 ・1平方メートルごとに、おおよそ5,000円台~8,000円など 配管の交換を実施する場合の費用目安 ・1メートルごとに、おおよそ8,000円台~12,000円など 集合ポストの交換を実施する場合の費用目安 ・集合ポスト一式ごとに、おおよそ170,000円台~250,000円など 大規模修繕工事の費用を抑えるためのポイント 最後に、大規模修繕の工事品質を落とさずに、かかる費用を少しでも抑えたい……と考えられているオーナー様や理事会様に向けて、検討時に大切となるいくつかのポイントをご紹介します。 事業者選びは管理会社任せにせず、管理組合と住民でじっくり検討する マンションやアパートなどの建物で大規模修繕を始めとした様々な工事を実施する際、事業者選びについては面倒なので管理会社任せにしてしまう、というケースも一般的に多いようです。 もちろん、管理会社のほうでも慎重に、コストや作業品質の面などでバランスのよい事業者選定をおこなってくれる可能性がありますが、一方で例えば特定の事業者との付き合いが深い場合などに、工事内容の得意・不得意や費用などの面が差し置かれ、あらかじめ決まった事業者を選定してしまうということも起こりえます。またその場合には、施工事業者から管理会社へ、紹介料や手数料といった中間マージンが発生している可能性もあります。 そのため、なるべく費用を抑えたい場合や工事品質などについて自分たちでじっくり吟味したい場合には、すべてを管理会社任せにはせず、住民の方々や管理組合の方々が様々な情報を比較検討しながら、じっくりと施工事業者を選定するほうが適切な場合もあります。 尚、国土交通省が提示する「標準管理委託契約書」の書式においては、管理会社がとりおこなう業務内容に「長期修繕計画案の作成や見直し」は定められているものの、大規模修繕工事そのものについては契約の範囲外であると定められています。 そのため、例えば管理会社側から主導の提案がもしあったとしても、基本的には住民の方々や管理組合の方々が主導権を持つことが可能です。 ※実際の各管理会社の業務内容を正確に把握する際には、取り交わしている管理委託契約の内容確認が必要となります 修繕範囲や規模によっては、無足場工法も選択肢に入れる 大規模修繕で屋上部分や外壁など、建物の全体に渡る工事をおこなう際には、基本的に建物のまわりを覆うようなかたちで作業足場が組まれます。 この足場組み作業自体にも工賃が発生するため、もし少しでも費用を抑えたい、尚且つ対応している施工事業者へ依頼できる場合には、足場を組まない「無足場工法」を選択するという方法もあります。無足場工法には、例えば作業員が屋上からロープを伝って施工箇所へアクセスするロープアクセスや、屋上から吊り下げたケージで上下に移動しながら作業をおこなうゴンドラ作業などがあります。 ただしこの場合の注意点としては、そもそも隣家との間隔が足場を組む場合以上に広く必要になる場合があること、また作業範囲がかぎられてしまう場合があることなどが挙げられます。 そのため、あくまで検討材料のひとつ程度として考えておくとよいでしょう。 自社施工の事業者を選ぶ 実は、大規模修繕工事をおこなえる施工事業者とひとくちにいってもその実態は様々で、例えば建物の調査から見積もり、施工まですべて自社でおこなっている完全な専門事業者もあれば、一方で一部の業務を外注委託していて100%自社社員での運用とはなっていない、というケースも多くあります。 後者のケースの場合には、当然のことながら外部へ委託している業務工程において中間マージンが生じているということになるため、どうしても利用者が支払う費用が割高となってしまいがちです。 そのため、払わなくてよい費用は払わずに済ませ、総額費用を少しでも抑えるという面では、自社が業務を100%担当している修繕専門の事業者を選ぶという点も大きなポイントとなります。 費用をどのくらい抑えられる? 工事の品質は担保できる? など、具体的な相談はぜひ修繕の専門店へ 本記事では、アパートやマンション、業務施設などで定期的に必要となる大規模修繕について、工事にかかる費用の目安や検討時のポイントなどをご紹介しました。 大規模修繕の目的、かけられる予算やどうしても譲れない条件といった部分は、建物のオーナー様や組合様によって実に様々です。 修繕専門店であれば、そのような実状ごとの様々なニーズにも柔軟に対応できます。具体的なことは決まっていないという検討段階であっても、ぜひお気軽にご相談ください。 2024年9月12日 更新大規模修繕にかかる工事期間はどの程度? 着工前の計画段階も含め、一般的な目安をご紹介
大規模修繕に要する工事期間は、建物の規模や細かな工事内容の違いにより、大きな差が生まれます。着工前の計画をおしすすめる際にかかる期間、実際の工事にかかる期間など、検討しておくべき期間の話題についてまとめて解説します。 大規模修繕を実施する際には建物の修繕箇所や予算などの事項のほかに、実際にどのくらいの工事期間を要するかという点も大変重要なポイントとなります。工事期間は、アパートやマンションの住民の方々の生活・過ごし方に直接影響する部分でもあります。 本記事では大規模修繕の工事期間について、様々な目安をまとめてご紹介しています。 「大規模修繕」に該当する工事内容とは? 「大規模修繕の工事期間」と聞くと、その名からとても範囲や規模の大きい工事のみであると想像し、工事期間も数か月〜1年超えなどが当たり前なのでは? とイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。 もちろん、建物の規模や工事内容によってはとても長期の工事期間となることもありますが、一方で一か月以内に完了するような大規模修繕の事例も多くあります。 実は、大規模修繕とは必ずしも建物全体に関わる大工事であったり、作業者が何十人も必要となる規模であったり、というわけではないのです。 どのような工事が「大規模修繕」にあたるかは、建築基準法で定義されています。当該法令では大きく2つの定義がなされており、ひとつは「建物の主要構造部における、一種以上について過半部分に対する修繕」、そしてもうひとつは「建物の主要構造部における、一種以上について過半部分に対する模様替え」です。 建物の主要構造部とは、アパートやマンション、ビルや施設の根幹部分となる壁や柱、梁や床、屋根などといった、「その部分がないと建物として成立しない」ような部分のことを指します。逆に主要構造部にあたらない部分としては、建物内部の間仕切り壁や、間柱、ひさしや屋外設置の階段などがあります。 主要構造部の一種に対して実施するだけでも大規模修繕にあたるため、例えば「屋上部分の60%ほどに防水工事をおこなった」というような場合も、建築基準法上の大規模修繕となります。 工事をおこなうアパートやマンションなどの建物自体は2階〜3階建てといった小規模で敷地面積が小さめなものも含まれることを考え合わせると、一か月以内の日数で完了する大規模修繕も多くある、ということが具体的にイメージいただけるかと思います。 大規模修繕の詳しい定義などについては、建築基準法の第二条第十四号、および第十五号で確認できます。ご興味のある方は、ぜひ下記リンクから詳細をチェックしてみてください。 ※参考:e-Gov 法令検索「建築基準法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201 大規模修繕の計画から着工までの期間 建物の大規模修繕を検討する際には、工事そのものにかかる期間とは別に、「計画から実際の着工まで」にかかる日数も検討しておくことが大切です。 実は、大規模修繕においては実際の工事期間よりもこの計画〜着工までの期間のほうが概ね1年以上と、長めになることも一般的です。工事自体は例えば壁部分のみ、など建物の一部に留まることがある一方で、計画についてはどのような場合でも一定以上の、それぞれ日数を要して関与者も異なるような複数の段階を踏むことになるからです。 「計画から実際の着工まで」というのがどのようなことのために必要な期間かというと、具体的には以下のような内容となります。 修繕委員会を設置し、計画を立てる 大規模修繕を計画するにあたっては、通常の理事会とは業務目的が異なる委員会として、住民で構成された「修繕委員会」を設置することが一般的です。 例えば理事会の下部組織として、主要メンバーが一部重なるかたちであっても修繕に関する業務専門の会として修繕委員会を立ちあげたうえで、建物の工事内容や予算を審議したり、住民向けの説明会を実施したりすることを前提として活動を開始します。 発注形式を決定する 大規模修繕では、住民のみですべての事項を検討したり調査したりといったことはなかなか難しいため、どうしても専門知識や経験を有する外部の専門家との契約が必要となるでしょう。 この観点で考えると、発注形式は「責任施工方式」と「設計管理方式」の二通りが考えられます。前者は修繕を担当する施工事業者に事前準備から工事までの一切をまるごと委託するかたちで、後者は修繕計画の管理やアドバイスを外部コンサルタントに依頼するかたちです。 依頼費用としてかかる金額や打ち合わせにかかる日数・手間といった総合的なコストを考え合わせながら決定しましょう。 建物診断や調査をおこなう 実際的な修繕計画を立てたり、見積もりを立てるためには建物の老朽化の状況や故障個所など、現状を正確に把握しておく必要があります。 そのため、専門の調査員に訪問してもらい、目視および専門機械などの手段で調査を実施します。 この診断・調査についても、専門のコンサルタントに依頼する場合と、施工事業者にまるごと依頼したり、紹介してもらったりという場合があります。 いずれの場合でも厳密な調査を実施し、建物について早急に修繕が必要な部分とそうでない部分、修繕しなかった場合の影響の度合いなどを正しく切り分けておきます。 修繕計画と予算を審議する 診断・調査を経て建物の現状が把握できたら、実施すべき工事内容やかけられる期間・予算などについて審議します。 修繕が早急に必要な箇所を最優先としつつ、第二優先、第三優先にあたる箇所なども長期的な計画として組み入れるか、予算の割合をどうすべきかなど総合的に検討しつつ、例えば修繕積立金だけでは不足しているような場合には融資を受けるといった方法も視野に入れ審議を進めます。 施工事業者を選定する 修繕計画が固まったら、施工事業者の選定に入ります。 専門紙やWebサイトなどのメディアで情報を収集したり、設計管理方式でここまで進めている場合には当該コンサルタントに相談したりしながら、施工事業者の候補としてまずは数社を選定しておきます。 それらの事業者に相見積もりをとりながら、各社の提案内容をヒアリングしつつ比較検討していきます。 事業者を比較する際には、見積もりの額だけでなく過去の施工実績や信頼度、評判、担当者とのやりとりのしやすさ、細かな部分の相談のしやすさなども確認しながら絞り込んでいくとよいでしょう。 総会で合意を得る 組合員を集め総会を開催したうえで、今回の修繕工事内容や予算、施工事業者や、それらの決定理由など詳細を説明し、合意を得ます。 修繕費用は組合員および入居者からの修繕積立金でまかなわれることが基本となるため、質問や懸念点が少しでも出た場合は随時対応し、解決しておきます。 施工事業者と契約する 総会で合意を得られたら、施工事業者と正式に契約を交わします。 工事説明会を実施する 施工事業者との契約が済んだ段階で、入居者に対する工事説明会を実施します。 工事説明会では、施工事業者の担当者から入居者に対して、あらためて工事の内容や期間中の過ごし方・使えなくなる設備や注意点など総合的な説明をしてもらいます。 工事説明会において入居者から過ごし方などについて要望を受けた場合には、対応可否をその場で施工事業者とすりあわせしながら、対応策を検討していきます。 大規模修繕の着工から工事完了までの期間 大規模修繕工事の着工から工事完了までの期間については、建物の規模や工事内容によって大きく異なり、前述のように例えば30日程度で済むこともあれば、1年以上の長期的な工事になることもあります。 ここではご参考までに、一般的な大規模修繕工事(壁や屋上など複数個所で施工)における大まかな目安をご紹介します。 詳しくは、外部専門家への相談や施工事業者への見積もり依頼時にも確認しておきましょう。 ・小規模(50戸未満、5階建て未満など)の建物……工事内容によっておよそ1か月~3か月など ・中規模(100戸未満、10階建て未満など)の建物……工事内容によっておよそ4か月~半年など ・大規模(100戸以上、高層など)の建物……工事内容によっておよそ半年~1年以上など 個別の工事期間目安 大規模工事を実施する際には、工事期間の中で複数の工程がふまれます。 各工程における個別の期間についても、細かな工事内容や建物規模によって違いがありますが、ここではおおよその目安をご紹介します。 仮設工事・足場仮設 小規模な建物であれば数日〜10日前後、100戸を超えるほどの大規模な建物であれば数週間〜一か月弱ほどの期間を要します。 下地補修・シーリング コンクリート部分のヒビ割れや外壁タイルの損傷がある場合の下地の補修、および樹脂やシーリング材の充填などの作業工程で、2週間〜1か月程度の期間を要します。 防水・外壁塗装 本工事にあたる工程となり、細かな発注内容の違いや使用資材などによって最も期間に幅が生まれる部分となりますが、おおむね数週間から数か月程度の期間を要すると考えておきましょう。 大規模修繕の準備はいつから始めればよい 国土交通省が公開している、マンションなどの大規模修繕に関係するガイドラインにおいて、修繕計画については「30年以上で、大規模修繕工事が少なくとも2回」といった、ひとつの目安としての提示がなされています。 こういった目安も参考に、建物の実際の状況や予算、住民からのニーズなども踏まえながら大規模修繕工事の周期を検討し、ここまでご紹介した各工程の所要日数を踏まえながら準備開始の時期を決定しましょう。 大規模修繕においては、計画立案から着工、完了まで含めてすべての工程を円滑に進めるために、準備期間から早めに施工事業者やコンサルタントといったパートナーを決め、専門的観点を交えて話し合いを進めておくことが大切です。 ※参考:国土交通省「長期修繕計画標準様式 / 長期修繕計画作成ガイドライン / 長期修繕計画作成ガイドラインコメント」 大規模修繕の工事前・工事期間中によくある懸念点と対策 最後に、大規模修繕の計画時や実施時にしばしば生まれやすい懸念点と、その対策についていくつかご紹介します。 まず、計画の初期段階で修繕委員会を設置して話し合いを進めている段階で、「委員会内で意見がうまくまとまらない」というケースがあります。修繕積立金を主とする一定の予算について、使われ方が正しいのか、また修繕箇所の優先度はどうなのか、といった点などです。 これらの点については、外部の専門家と早い段階で連絡をとり、建物の実際的な調査をおこないながら専門的な観点をまじえておくことが対策となるでしょう。 また、施工事業者との契約段階や実際の着工において、「工事開始後に施工箇所が増えて、予算を超えてしまわないかが心配」といった声もよく聞かれます。この点については相見積もりをとりながら信頼のおける施工事業者を厳選し、真摯にあらゆる可能性を踏まえた説明をおこなってくれる事業者を選ぶことが対策となります。様々な施工実績を積み、専門的な観点をもつ事業者であれば、想定外の事態が起こった場合なども考え合わせたうえで総合的な見積もりを出すことが可能です。 さらに、「工事前に、仕上がりをどこまで具体的にイメージしながら検討できるか」という懸念も、専門的な知識を持たない住民の方などからよく挙がる声です。 この点についてもやはり施工事業者の対応品質が直接的に影響する部分で、施工事業者のホームページで掲載されている工事種類ごとの施工事例写真や、見積もり時の別途作成資料などで、修繕委員会や住民説明会などでも具体的にイメージを伝えやすい資料を揃えられるかどうかがカギとなります。 担当者の対応の細やかさなども含め、長く付き合う相手として信頼できる事業者を選ぶようにしましょう。 大規模修繕の工事期間や工事内容を具体的に検討する際には、専門家へご相談を アパートやマンション、業務施設といった建物で大規模修繕工事を計画する際には、あらかじめかかる予算や工事期間の検討、修繕が必要な箇所や優先度の判断などを正しくおこなっておく必要があります。建物の組合や委員会の方々のみで判断できない部分、下調べが困難な部分などについては、ぜひ修繕専門店へお気軽にご相談ください。 2024年9月5日 更新工場の屋根をメンテナンスしないと起こるトラブル
工場の屋根をメンテナンスする理由と必要性 工場の屋根メンテナンスは、単に建物を美しく保つためだけではありません。工場の屋根は、機械や生産ラインを保護し、作業環境を安全に保つ重要な役割を果たしています。自然の力、特に日本の多雨や台風といった気象条件により、屋根材は徐々に劣化します。劣化を放置することで、屋根の機能不全が引き起こされ、最終的には工場全体の生産性に影響を及ぼすことになります。実際に、屋根の定期的な点検とメンテナンスは、大規模な修理や取り替えのコストを抑えるためにも必要です。劣化が進む前に小さな修理を行うことで、工場は長期にわたり安全かつ効率的な運営が可能となります。 工場の屋根をメンテナンスしないと起こるトラブル例 工場の屋根を定期的にメンテナンスしない場合、多くのトラブルが生じる可能性があります。例えば、屋根材の破損や劣化が進むと、雨漏りが発生しやすくなります。これが原因で、水が工場内の機械や製品に直接かかり、故障や品質低下を引き起こすことがあります。 2019年には、ある工場で屋根のメンテナンスを怠った結果、大雨による水漏れで生産ラインが一時的に停止し、約5000万円の損失が出た事例が報告されています。さらに、屋根の断熱材が劣化すると、冷暖房の効率が大幅に低下し、エネルギーコストが増大します。 まとめ 工場の屋根メンテナンスは、製造業における継続的な生産性と安全性を確保するために不可欠です。屋根の小さな損傷を見逃すことなく、早期に対応することで、より大きな損害とコストの発生を防ぐことができます。 工場運営をスムーズにし、経済的な損失を最小限に抑えるためにも、定期的な屋根の点検と適切なメンテナンス計画の実施が推奨されます。安全かつ効率的な生産環境を維持するためには、設備担当者は屋根の状態に常に注意を払い、適切な専門業者と協力して、必要なメンテナンスを計画的に行うことが重要です。 2024年9月4日 更新工場・倉庫での塗り替えにかかる費用は?
工場や倉庫の外装の塗り替えは、単なる美観の向上以上の効果があります。 定期的にメンテナンスは、建物を雨漏り等から守り、効率的な生産活動を維持するために不可欠です。さらに、定期的な塗り替えにより、建物の市場価値を維持し、企業イメージを良好に保つことができます。 しかしながら、このような塗り替えを検討する際に、最も疑問に感じられるのは費用面かと思います。ここでは、工場や倉庫の塗装における費用について詳しく解説していきます。 工場・倉庫塗り替えの費用の相場 外壁や屋根の塗装にかかる費用には、幅広い範囲があります。具体的には、500,000円から1,000万円を超える場合もあり、この大きな価格差の理由は、使用される塗料の種類や品質にあります。 たとえば、300坪の面積を持つ工場にスタンダードなシリコン塗料を使用した場合、約600万円のコストがかかります。一方で、耐久性に優れた高級なフッ素塗料を使用すると、同じ面積で約720万円のコストが発生します。 屋根塗装の場合、屋根の種類や形状、選択する塗料によっても費用が変動します。 倉庫や工場の塗装費用が一定ではございません。 各業者が、自社の技術力、経験、そして材料の質に基づいて価格を設定します。施工業者による価格差もあるため、見積りに記載されている価格が適切かどうかを見極めることが重要になります。 外壁塗り替え工事の費用を安く抑える方法 屋根や外壁の塗装にかかる費用を節約するには、業者の選定と塗料の種類が鍵を握ります。 塗装作業を複数の業者に頼むと、その分だけ中間マージンが発生し、結果的に費用が増加することがあります。一方で、全ての作業を内製化している企業を選択すれば、これらの追加コストを避けることができます。 塗料に関しても、初期投資を低く抑えたい場合はコストパフォーマンスに優れた製品を選ぶことが有効です。ただし、安価な塗料は耐久性が低いことが多く、頻繁に塗り直しが必要になる可能性があります。 そのため、初期費用だけでなく、長期間にわたる維持費用も考慮し、耐久性とコストのバランスを見極めた塗料選びが重要です。全体のコストを最小限に抑えつつ、長期的な視点で最適な選択をすることが推奨されます。 2024年8月28日 更新藤沢市密着1,700件以上の豊富な施工実績
私たちリペアウィズは藤沢市地域密着のアパートマンション、工場、施設の修繕・外壁塗装・防水工事専門店として近隣地域の皆さまに信頼され、安心して修繕工事をご依頼いただける会社を目指しています!
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リペアウィズ (株式会社 創雅)
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